本章では、インドネシア、タイ、フィリピンの主要な経済指標を比較分析し、通貨危機が各国経済に及ぼした影響を把握する。通貨危機により各国が同様な影響を受けた点、異なる影響を受けた点の両方が存在することを明らかにする。
図3-1は1995年の対米ドルレートを100とした指数の変化である。この図では、指数が大きいほどドルに対して減価していることを示している。表3-1は1993年から2000年までの3国の対米ドルレートである。
図 3-1 3ヵ国の対米為替レート(指数)
1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | |
インドネシア(ルピア) | 2087.1 | 2160.8 | 2248.6 | 2342.3 | 2909.4 | 10013.6 | 7855.2 | 8421.8 |
フィリピン(ペソ) | 27.120 | 26.417 | 25.714 | 26.216 | 29.471 | 40.893 | 39.089 | 44.192 |
タイ(バーツ) | 25.320 | 25.150 | 24.915 | 25.343 | 31.364 | 41.359 | 37.814 | 40.112 |
出典:International Financial Statistics, IMF
3国とも1993年から96年までは為替レートは安定していたが、97年以降は2種類の異なった動きを見せている。タイ、フィリピンは1997年から98年にかけてドルに対する自国通貨の価値は3分の2に低下したが、その後は安定した動きを見せている。一方、インドネシアは、1997年にタイ、フィリピンと同程度減価した後、98年にはドルに対する価値は一気に9分の2まで低下した。99年には通貨価値は回復の動きを見せたが、2000年には再び減価しており、不安定な動きを見せている。